センチメモリー/センチメモ

いつの間に私たちはこんなに遠くへ
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グローバリゼーションという悪夢

 ぼーっと見ていた「知っとこ!」の「新婚さんの朝ごはん」がタンザニアでした。
 へー、いいとこだなあタンザニア、ごはんもおいしそうだなあ……と思いながら、ちらっと頭をよぎったのは『ダーウィンの悪夢』。あれって、タンザニアの話じゃなかったか?

 去年の夏にDVDで見て衝撃を受けたのですが、感想を書きそびれていました。
 覚悟して見たんですが、それでも予想以上に重いドキュメンタリーで正直言葉が出なかった……救いがなさすぎました。

 どんなに醜悪ななかにも必ず何かひとつ美しいものはあるはず(逆もまた真なり)、と思ってものを見ているけれど、本当にこれでもかという位、ただ絶望的でした。
 タンザニアの自然(というか生態系)がナイルパーチによって破壊されるところから始まってるし、加害者も被害者も貧しくて飢えているなかで陰惨な犯罪は起きるし……身の部分をパック詰めにして輸出したあとの魚の、もはや生ゴミでしかない骨と皮と頭部を処理しているふりをしてこっそり運び出し、食べ物として売っているとか、もうほんと……ゴミを貧しい人たちが漁って食べるとかそういう生やさしい状況じゃないんですよ、蛆のわいてる生ゴミを加工(と言っても天日に干すだけ)して売ろうとする場があり、そこに雇われて働いている労働者がいて(強いアンモニアに晒されているために片目を失いながら働いている人がいました)、経済が成立しているんですよ……。お金がなければ生ゴミすら口には入らない。
 ナイルパーチの身の部分は日本を含む先進国へ輸出され、安価な白身の魚として広く使われているのだそうです。ファーストフードのフィッシュフライとかに。ケンタッキーのフィッシュフライ、マックのフィレオフィッシュ、どちらも私は好きです。この絶望的な状況の頂点にいて、彼らから搾り取れるだけ搾取しているのは、最終的には私でもあるということです。

 浜辺で幼い子どもたちが飛び跳ねているシーンに、ああ、無邪気だなあ微笑ましいなあ、と思うと、実はプラスチックの資材を溶かしてつくった毒性の強いドラッグでラリっている場面だったとかね……。そのドラッグの原材料のプラスチック資材はナイルパーチ輸出用の梱包資材だそうです。
 戦争になれば金が貰える、だから戦争を望む、と話す工場の夜警の男性に、「人を殺すのは怖くないの?」とインタビュアーが素朴に問いかけ、「戦争ってのは人を殺すものだ」ときっぱり言いきられて、それ以上何も言えなくなっていたのも印象的でした。戦争が生存の可能性だというこういう人たちに、反戦を訴える言葉は私だって持っていない。こういう人たちを見殺しにしながら私たちの平和な社会は維持されているんだと、頭を落とすだけです。

 だからと言って戦争を肯定もしないし、もうフィレオフィッシュは食べない! なんて短絡かつ自己満足的になりもしないけどね。
 自分が無意識に踏みつけにしている人たちの現状を見せられて、恵まれてることに感謝してポジティヴに生きます! なんて無神経極まりないことを言っちゃえるほどオメデタイ人間でもないし。
 とりあえずイヤでも涙は出る(とにかく悲惨すぎて、無力感で)ので、24時間どうでもいい偽善をたれ流すくらいならこういうのをやったらいいんじゃないかな……泣けるぜ……と八つ当たり的に思ったのでした。一日食べたいだけ食べて無為に過ごしたあとだったので余計にへこんだんだ確か。

 ……なんだけど、紹介されていたタンザニアが、まさに悪夢のようなあのドキュメンタリーからはかけ離れていて、何だかぼんやりしてしまいました。
 今朝の「知っとこ!」だけ見たらタンザニアにあんなひどい貧困があるなんて想像もしないよ。わあ行きたい! とすら思ったもん。

『ダーウィンの悪夢』は内容が悲惨なわりに一本の映画としては美しく、非常に辛いのに「もう二度と見たくない」とは思わせない映画です。沢山の人に見てもらいたいと思います。
映画 | 00:00 | comments(0) | trackbacks(0) | 麻子
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