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いつの間に私たちはこんなに遠くへ
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ブレヒトのアンティゴネ

 東京演劇アンサンブルの「ブレヒトのアンティゴネ」を観てきました。ソポクレス原作のギリシア悲劇をドイツの詩人ヘルダーリンが翻訳して、それを底本にブレヒトが舞台用に改作した作品だそうです。
 芝居の冒頭に登場人物の紹介と、舞台となるテーバイについての簡単な説明がありました。アンティゴネがあのオイディプス王の娘であること、テーバイは暴君クレオンの配下にあってアルゴスを侵略中であること、などが語られて、物語が始まりました。

 戦場から脱走したことを裏切りと見なされ、埋葬を禁じられた兄の死体を、アンティゴネは掟に背いて埋葬しようとし、クレオンに屈することなく自らの信念を貫きます。
 アンティゴネのポジションは立派な悲劇のヒロインなのですが、そういうふうに描かれてはいなかった。結局、彼女の抵抗はテーバイの滅亡を早めただけだ、というようなことが劇中で語られます。頑ななアンティゴネも、欲に目がくらんだ暴君クレオンも、自分たちの意見を持たず右往左往する共同体の人々も、誰もが愚者だった、という印象を受けました。
 忍耐に忍耐を重ねたり、過ちに走ったり、年とってから賢くなったり、そんな余裕は人間にはありはしない……という最後のコロスの合唱は刺さりました(笑)
 ともに法を犯すことを拒んだかわりにともに死ぬことを望み、ずっと姉を慕い続けるアンティゴネの妹・イスメネが可哀想でした。あの芝居のなかでいちばん優しい役だった気がする。

 素朴な演出だったぶん、台詞の強さがストレートに伝わってきて良かったです。
 アンティゴネ役の女優さんが途中噛んじゃって、あれは結構われに返るなと思いました……。クレオンの役者さんがすごい存在感で、勝手な論理なのにクレオンの言葉にはいちいち説得力がありました。あと盲目の預言者ティレシアスはさすがの貫禄でした。

 西武新宿線の武蔵関にある、「ブレヒトの芝居小屋」っていうこの劇団用の劇場で見たんですが、トタン張りの民家みたいな小屋で面白かったです……寒かったけど。
舞台・展覧会・イベントなど | 00:00 | comments(0) | trackbacks(0) | 麻子
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