センチメモリー/センチメモ

いつの間に私たちはこんなに遠くへ
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生命と愛の未来を探る

 医学と芸術展に行ってきました。このごろ森美術館に縁があるな。
 思ったより混んでいて、意外でした。かつて人体解剖は学術的な動機のみならずエンタテインメント的な要素を含んで公開された、というようなことがその様子を描いた絵画のキャプションにありましたが、さもありなん、いつの世にも人はそういうものに惹かれるところがあるのだな、と妙に納得してしまいました。展示されていた中世の解剖図には女性、それも妊婦を描いたものが目につき、純粋に医学的な好奇心ではないものを感じずにはおれない。女性のおなかの部分が蓋みたいにぱかっと開いて、中に内臓が詰まっているコレクション用の小さな模型とかもありました。

 いちばん心を打たれたのはヴォルター・シェルスの「ライフ・ビフォア・デス」という作品です。生前の顔と死んだ直後の顔を並べて対にしてあるポートレイトで、生きているときと見かけは何も変わらないのに何かが決定的に違う死者のあの感じが、写真に映っていてすごいと思いました。被写体には老いた人も若い人も男の人も女の人もいましたが、中に一枚生後まもない赤ちゃんのものがあって……天使のようにかわいい顔をしているのが、痛々しくて涙が出そうでした。逆にお年寄りの写真はとても安らかな気持ちで見ることができました。

 私のお目当ては現代芸術の作品だったのですが、おなじみの作家にも出会えました。やなぎみわとか。パトリシア・ピッチニーニの「ゲームボーイズ・アドヴァンスド」にも再会した!(原美術館にいたときほどの存在感はなかったけど)
 ジル・バルビエの「老人ホーム」(スーパーマンやハルクなどアメコミのヒーローたちが、誕生したときからの実年齢で老人ホームに入っているという設定のインスタレーション)は面白かったです。

 終わりの方は、自ら腕に耳を移植するなど人体改造をしてその様子をインターネットの動画で流しているアーティストとか、遺伝子操作で蛍光色に発光するようにつくられた「GFPバニ―」とかが出てきていました。
 この「GFPバニ―」の「アルバ」、すごくセンセーショナルな作品だと思うし、それは「芸術」なのか? という議論も含めて意味のあることだとは思うんだけど、いかんせん写真のパネルとドキュメンタリー映像だけでは「美術展」に「芸術作品として」展示するインパクトは弱いのでは。実物を連れてこいとまでは言わないけど(多分、もう生きていないでしょうし)、せめて生きて動いて発光する映像を見せてくれないとなー。そのショックが伝わらない。写真パネルだけじゃ「ふーん」で終わってしまうよ。

 最後に展示されていた、人工皮革を培養する(動物を毛皮のために殺さなくてすむように)装置も印象に残りました。でも膨大に時間をかけてやっとちょっと出来上がる、ように見えたので、実用性はなさそうだったな……

 美術作品のほか医療用の器具、義肢なども展示されていて、見ごたえがありました。面白かったけど、カタログが売り切れで予約受付中というまでの人気ぶりはやや不思議……
舞台・展覧会・イベントなど | 11:50 | comments(0) | trackbacks(0) | 麻子
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