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いつの間に私たちはこんなに遠くへ
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Timeline 1906-1977 ポンピドゥー・センター傑作展

 東京都美術館のポンピドゥー・センター傑作展に行ってきました。
 そもそも私が現代芸術をよろこんで見るようになったのは1997年のポンピドゥー・コレクションでめちゃめちゃ衝撃を受けたのがきっかけで、それ以来のポンピドゥー・センターの企画展ということで、行く前からものすごく楽しみにしていました。

 

 1906年から1977年まで、一年ごとに一作家・一作品ずつ年代順に展示してゆく、「タイムライン」というちょっと変わったコンセプトだったのですが、面白かったです。
 キャプションだけでなくそれぞれの作家の言葉とポートレートが面白くてつい読んでしまうので、点数がそれほど多くないわりに一周するのに時間がかかった気がする。
 私はしばらく前から色、とくに明るい色にやたら目がいくようになって、ドローネーの「エッフェル塔」とかすごく色がきれいでよかった。あとヴァランシの「ピンクの交響曲」とか……共感覚ってこんな世界なのか……? ってすごく興味深かったです。
 いちばん印象に残ったのはセラフィーヌ・ルイという女性の「楽園の樹」で、羽根や葉や眼に見えるたくさんの色の鮮やかさに感動してしまった。「私は絵を描きます。でもとても難しいです。私は絵のことをあまりよく知らない年老いた初心者です。」という画家の言葉にも打たれました。
 その隣にあった、サーカスで働いていたというボンボワの「旅芸人のアスリート」もひょうきんな感じで見ていて楽しかった。絵画を正式に学んだ経験があまりない、いわゆる「素朴派」と呼ばれる人たちの絵にとても惹かれたことが予想外で自分でもびっくりしました。

 

 特集されている期間には二度の世界大戦があり、とくに第二次大戦中の1945年は何の作品もおかれず空白にされています(BGMとしてエディット・ピアフの「バラ色の人生」がかかっている)。戦前・戦中・戦後、という時間の流れを意識せずにはいられない。
 なかでも1916年のアルベール=ビロのずばり「戦争」という絵は強く印象に残りました。抽象画なんですが、不穏な空気や不吉な気配がすごかった。
 ガスマスクをいっぱいに敷き詰めたアルマンの「ホーム・スウィート・ホーム」もすごいインパクトでした。

 

 マティス、ピカソ、シャガールといった大御所の作品も来ていましたが、どちらかというと初めて名前を知った作家の作品のほうが面白かった気がします。
 デュシャンの「自転車の車輪」とかたぶん以前にも見たことあるし……むしろデュシャンがあのオブジェをアトリエで回してよろこんでいたっぽい(「これは決して芸術作品とみなされるべきものではなく、むしろ、アトリエで他のものを制作しているときに自分をリラックスさせてくれる、動く、気晴らしのための道具である」作品解説より)ことが面白かった。マニ車か(笑)
 あとマルセル・デュシャンの兄だというレイモン・デュシャン=ヴィヨンの「馬」という彫刻も面白かったです。
 展示室の壁がフロアごとに赤、青、白になってたんだけど、やっぱり最も時代が新しい白の展示室がいちばん好きだった。

 

 存在が好きとしかいえないカルダーの「4枚の葉と3枚の花びら」とか、エロのコラージュ作品「マダム・ピカビア」とか、ポップアートっぽさがかわいかったジャケの「ガビ・デストレ」とか、ほかにもいいな、好きだな、と思った作品はこまごまとたくさんあって、とても楽しかったです。写真や彫刻もよかった。
 グッズはカンディンスキーの「30」がかなり推されてた……かわいいもんな……。私もカンディンスキー狙いでアクリルキーホルダーのガチャガチャを回して見事に外したりとかしましたよ……

 

 目玉になるような大作は正直あまりない渋めの展覧会でしたが、好きだなあと思う世界をじっくり満喫できてほんとうに楽しかったです。
 いつか本場のポンピドゥー・センターにも行きたいなあ。 

舞台・展覧会・イベントなど | 23:37 | comments(0) | trackbacks(0) | 麻子
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