センチメモリー/センチメモ

いつの間に私たちはこんなに遠くへ
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どこで線を引くべきか、いつも考えている

 元日は1日で映画の日です(なので映画館はたいそう賑わっている)。私も今年は初めて1月1日から映画館に行ってみました。たまたま、数日前にツイッターのタイムラインで「MERU」のことを知って、べつにそれほど山が好きというわけでもないのになぜかすごく気になってしまったので。

 

 タイトルの「メルー」はヒマラヤ山脈のメルー中央峰のことで、過去30年間だれも成功していない「シャークスフィン」と呼ばれる岩壁の直登に3人のトップクライマーが挑むドキュメンタリーです。
 事前にほぼ何の情報もなかったので、当初、私は自分では絶対行けない場所のスリリングな映像が見られるのかな、という期待をもっていました。「エベレスト 3D」の予告編みたいなイメージというか。
 ですが実際の映画はぜんぜん違っていました。足が竦んだり肝が冷えたりする場面はひとつもなかった。風景は雄大で神々しいくらいにきれいで、厳しさも伝わってくる、けれど怖くはないし、クライマーの3人も常に淡々としています。天候が悪化したり道具が壊れたりするアクシデントはもちろんあるけれど、それでも彼らは観客を不安にさせるような行動はとらない。

 映画でチームは二度、メルーにアタックします。一度めは失敗に終わるのですが、このときの、頂上まであとわずか、というところで撤退を決断する瞬間が私はいちばん感動しました。17日間も死ぬ思いで登ってきて、そもそもはるか手前で天候に足止めされて食糧を想定以上に消費してしまい、チーム最年少のレナン・オズタークが「無理だろうな」と思った、という段階では引き返さなかったのに、ほんとうにあと一歩というここで撤退するってものすごい勇気だな、この決断をするのは簡単ではないと思いました。
 その後の二度めは、雪崩に巻き込まれて脳と頚椎に後遺症を負い、高地に行けば脳梗塞の危険があるレナンを(本人の意志に任せるというかたちで)チームから外さず、一度めより困難な状況で再挑戦します。彼らのリスクのとりかたというか、無謀に見えるけれどきっと成し遂げられることと、何とかなりそうに思えるけれど挑めば命とりになること、の見きわめのすごさ、みたいなことを考えさせられました……。


 あとチームの3人の絆はもちろん、チームをひっぱるコンラッド・アンカーの家族や、亡くなった師や相棒との関係性みたいなものもとても印象に残りました。
 チームの一員のジミー・チンはプロの写真家でこの映画の監督もしていて、レナンもスケッチをしたりしている場面があって、背負わなければならない装備が多くて余計な荷持はひとつでも減らしたいだろうに、それでもカメラや画材は持っていくんだなあとか、そんなことも思いました。

 

 普段あんまり見ないジャンルですが観てよかったです。少なくとも今の私には必要な映画でした。

映画 | 16:25 | comments(0) | trackbacks(0) | 麻子
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